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2026/10/13
イベントレポート カスタマーサクセス ニュースリリース

「AIでカスタマーサクセスの成果をどう変えるか?山田ひさのり氏と考える、AI時代のカスタマーサクセス実践戦略」イベントレポート 【主催:アディッシュ】

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アディッシュ株式会社は、2026年9月18日に「AIでカスタマーサクセスの成果をどう変えるか?」をテーマに、オフライントークセッション&交流会を東京で開催しました。

本イベントでは、日本カスタマーサクセス協会 代表理事の山田ひさのり氏(以下 山田氏)をゲストに迎え、アディッシュ株式会社 代表取締役の江戸浩樹がモデレーターを務めました。

山田氏は、Sansan株式会社でカスタマーサクセス部門の責任者を歴任し、現在もカスタマーサクセス領域における知見発信や企業支援に取り組んでいます。

 

 

本イベントレポートでは、トークセッション内容として、「AI時代のカスタマーサクセス組織づくり(テーマ1)」「業務別のAI活用(テーマ2)」「顧客データ活用法(テーマ3)」といった実践内容に加え、当日の会場の雰囲気もお伝えします。

目次

「テーマ1」AI活用が進むカスタマーサクセス組織は、顧客データを管理できている

AI活用が進むカスタマーサクセス組織には、どのような特徴があるのか

山田氏は、AI活用が進む企業の特徴として、まず顧客データの管理状況を挙げました。

顧客情報が整理されている会社では、「このデータをAIに活用できるのではないか」という発想につながりやすくなります。一方で、顧客データが分散していたり、案件や顧客単位で整理されていなかったりすると、AIに渡す情報が不足します。

AI活用の差は、AIツールを導入しているかどうかだけでは決まりません。その前提として、顧客データをどれだけ使える状態で持っているかが重要だと語りました。

カスタマーサクセスで重要な顧客データは、プロダクト利用ログだけではない

山田氏は、カスタマーサクセスにおいて重要な顧客データにミーティングログや支援ログを挙げました。

実際に顧客と話した内容、支援の履歴、メールなどのコミュニケーション情報があることで、AIは顧客状況をより深く理解できます。
プロダクトの利用ログは、顧客が「何をしたか」を把握するうえでは有効です。しかし、顧客がなぜ困っているのか、どのような期待を持っているのか、社内でどのような事情があるのかまでは見えにくい側面があります。その点、ミーティングログや支援ログには、「顧客の課題」「温度感」「検討状況」「リスク」「次のアクション」が含まれます。

カスタマーサクセスにおけるAI活用では、顧客の一次情報をどれだけ残せているかがポイントだと言います。

AI活用とカスタマーサクセス組織の成熟度は深く関係する

AI活用は、カスタマーサクセス組織の成熟度とも深く関係しています。
山田氏は、NRRが高い企業ほどAIによる業務改善を実感している傾向があると述べました。

ただし、これは「AIを使えばNRRが上がる」という単純な因果関係ではありません。NRRが高い企業は、そもそも顧客データやダッシュボードが整備されている可能性があります。

顧客の状態を把握する仕組みがあり、継続収益やエクスパンションを管理できているからこそ、AIを乗せたときにも効果を感じやすくなります。AIを成果につなげるためには、ツールそのものだけでなく、データ基盤や組織の運用成熟度によると言及しました。

「テーマ1」のまとめ

「テーマ1」では、山田氏のトークを踏まえ、AI活用が進むカスタマーサクセス組織には、ツール導入以前に顧客データを管理できているという共通点があると整理できます。特に、ミーティングログや支援ログなどの一次情報を蓄積できているかが、AI活用の成果を左右する大きな前提となります。

「テーマ2」カスタマーサクセス業務におけるAI活用の初手は、顧客対応の自動化ではなくカスタマーサクセスマネージャー支援にある

カスタマーサクセス業務でAIを組み込みやすい領域はどこか

カスタマーサクセス業務におけるAI活用の初手は、顧客対応の自動化ではなく、カスタマーサクセスマネージャー(以下 CSM)による業務支援にあると、山田氏は示しました。

たとえば、案件のキャッチアップ、炎上しそうな案件の把握、オンボーディングの進捗確認などです。CSMは複数の案件を見ながら、どの顧客にリスクがあるのか、他のCSMが支援に困っているのかを把握する必要があります。

しかし、すべての議事録やメールを細かく読み込むには時間がかかります。そこで、ミーティングログや支援履歴をAIに読み込ませることで、案件の状況を短時間で把握しやすくなると語りました。

オンボーディングではAIをどう活用できるのか

オンボーディングにおけるAI活用は、プロセス自体の自動化よりも、支援品質の可視化に価値があります。
山田氏は、オンボーディングにおいても、AIは進行状況の確認や支援品質の把握に活用できると言います。

AIはオンボーディングの進行状況を確認するだけでなく、CSMが必要な情報を聞けているかを確認する用途に向いています。たとえば、顧客の導入目的、利用体制、課題、意思決定者、次回アクションなどが、ミーティング内で確認されているかを把握できます。

標準的なオンボーディングプロセスやプレイブックと、実際のミーティングログを照合すれば、支援の抜け漏れが見えやすくなります。これにより、オンボーディングの属人化を減らし、CSMごとの支援品質を平準化できます。

AIは顧客対応そのものを置き換えるよりも、CSMが正しく顧客を支援できているかを確認する補助線として機能すると、触れました。

チャーン防止やエクスパンションではAIをどう活用できるのか

山田氏は、チャーン防止やエクスパンションでも、AI活用の鍵は顧客の一次情報にあると言及しました。

利用ログだけでは、顧客がどのような不満を持っているのか、どの部署に展開できる可能性があるのかまでは十分に分かりません。一方で、ミーティングログやメール、支援履歴には、顧客の温度感や懸念が表れます。

たとえば、更新前に決裁者と接点を持てているか、推進者が動けているか、追加提案の余地がある課題が出ているかを確認できます。これまでは、こうした情報の把握はCSM個人の経験や記憶に依存しがちでした。AIを使うことで、顧客接点の情報を組織として確認し、チャーンリスクやエクスパンション機会を早期に見つけやすくなると述べています。

カスタマーサクセスマネージャーの育成やイネーブルメントにAIはどう効くのか

山田氏は、AIはCSMの育成やイネーブルメントにも有効と言います。

特に、新人や経験の浅いCSMに対して、次回ミーティングで聞くべきことや、案件ごとの注意点を提示できます。また、過去の類似案件や標準的なプレイブックを参照しながら、今の案件で不足している情報を確認することもできます。

マネージャーがすべての案件を個別に確認しなくても、AIが抜け漏れやリスクを補助できます。AIはCSMを置き換えるものではなく、CSMがより良い支援を行うための補助役として活用できると、山田氏は語りました。

「テーマ2」のまとめ

カスタマーサクセス業務におけるAI活用は、顧客対応の自動化から始める必要はありません。まずは案件把握、オンボーディング品質の確認、リスク検知、CSM育成など、社内向けの支援から始めることが現実的だということがわかりました。

「テーマ3」AI時代のカスタマーサクセスでは、顧客分類とシステム設計を見直す必要がある

AIはハイタッチ、ミドルタッチ、テックタッチでどう使い分けるべきなのか

山田氏は、AIはハイタッチ、ミドルタッチ、テックタッチのすべてで同じように効くわけではないと言います。

重要顧客を担当するハイタッチ領域では、AIの必要性は相対的に低いとしています。ハイタッチでは、経験豊富なCSMが顧客に深く入り、状況を把握していることが多いためです。一方で、ミドルタッチやロータッチの領域では、AIによる支援の余地が大きくなります。

担当者が多数の顧客を見る必要がある場合、人だけで全案件の詳細を把握することは難しくなります。AIは、優秀なハイタッチCSMを置き換えるよりも、人の対応が薄くなりやすい領域を補完する役割に向いていると述べました。

AI時代のCRMやカスタマーサクセスツールはどう設計すべきなのか

AI時代のカスタマーサクセス基盤では、すべてのデータを1つのCRMに集約するだけが正解ではありません。
山田氏は、1つのCRMにすべての顧客データを統合できている会社は多くないと示しました。

特に大企業では、Salesforce、HubSpot、カスタマーサクセスツール、メール、議事録ツールなど、複数のシステムに顧客データが分散しがちです。既存システムや部門ごとの運用もあるため、すべてを一気に統合するのは現実的ではありません。

今後はLLMやMCP(Model Context Protocol)のような仕組みを使い、複数システムのデータにAIがアクセスできる状態をつくる考え方が重要になります。大切なのは、データを一か所に集めることだけではありません。AIが必要な情報を参照し、CSMやマネージャーが使える形で返せることが重要だと、言及します。

AI×カスタマーサクセスの実践事例から何が見えるのか

AI×カスタマーサクセスの実践事例から見える価値は、顧客の一次情報を組織で使える状態にすることです。
山田氏は、印象的な事例として、マネージャーがAIを通じて顧客の一次情報に触れられるようにした取り組みを挙げました。

これまでは、顧客接点の細かな情報はCSM個人の中に閉じやすいものでした。ミーティングで何を話したのか、顧客が何に困っているのか、どのような温度感なのかは、担当者以外から見えにくいことがあります。

AIを通じて一次情報にアクセスできるようになると、マネージャーも案件状況を把握しやすくなります。これは、現場で得た顧客情報を組織としての知見に変え、マネジメントや支援判断に活かせるようにする取り組みだと語りました。

AI×カスタマーサクセスで成果を出すために最初に何から始めるべきなのか

山田氏は、AI×カスタマーサクセスで成果を出すための最初の一手は、顧客の一次情報を集めることだと言います。

AIツールを選ぶ前に、自社にAIへ渡せる顧客情報があるかを確認する必要があります。ミーティングログ、支援履歴、メール、顧客の課題、温度感、意思決定者の情報などがなければ、AIは最適な判断ができません。また、いきなり全社的なデータ統合を目指す必要はありません。

まずは、自分たちが触れられる顧客データから始めることが現実的です。小さく始めて、活用できるデータを増やしていくことが、AI時代のカスタマーサクセス組織づくりにつながると述べました。

「テーマ3」のまとめ

AI時代のカスタマーサクセスでは、タッチモデルごとにAIの使いどころを見極める必要があると整理できます。
また、CRMの完全統合だけを目指すのではなく、複数の顧客データをAIが参照できる状態にすることが重要だと山田氏は語りました。

交流会:オフラインだからこそ、参加企業同士の課題共有と意見交換が深まった

 

当日は、トークセッション後の交流時間でも、参加企業同士の会話が活発に行われました。

各社が抱えるカスタマーサクセス課題の整理や、解決に向けた他社との意見交換、山田氏への個別質問など、会場内では終始前向きな対話が生まれていました。特に、AI活用、顧客データ管理、オンボーディング、カスタマーサクセス組織づくりなど、各社の実務に近いテーマについて、自社の状況を共有する場面が多く見られました。イベント終了間際まで交流が続き、オフラインならではの熱量とつながりが感じられる時間となりました。

イベント参加者によるアンケート結果

 

イベント後に実施した参加者アンケートでは、イベント全体に対する満足度の高さがうかがえる結果となりました。
トークセッションの内容だけでなく、参加企業同士の交流や、山田氏との意見交換にも価値を感じていただけたことが分かります。
また、参加者からは、以下のようなコメントが寄せられました。

これらアンケート結果からも、AI×カスタマーサクセスというテーマが参加企業の実務課題に近く、オフラインならではの交流が新たな気づきや接点につながったことが確認できました。

 

まとめ:AI×カスタマーサクセスの出発点は、顧客の一次情報を活用できる状態をつくること

今回のトークセッションで山田氏が繰り返し語っていたのは、AI活用の前提として、顧客の一次情報をどれだけ集め、活用できる状態にできているかという点です。

AI時代のカスタマーサクセスでは、AIに顧客対応を任せること自体が目的ではありません。山田氏の言葉を借りれば、重要なのはミーティングログ、支援履歴、メール、顧客の課題や温度感といった一次情報を蓄積し、CSMやマネージャーが活用できる状態をつくることです。

アディッシュとしても、AIはカスタマーサクセスを置き換えるものではなく、顧客理解を深め、支援品質を高めるために活用するものだと捉えています。顧客の一次情報が蓄積されていれば、AIは案件把握、リスク検知、オンボーディング改善、CSM育成などに活用できます。一方で、情報が散在したままでは、AIを導入しても十分な成果にはつながりにくいと考えられます。

今回のイベントを通じて、AI×カスタマーサクセスで成果を出すためには、ツール導入の前に、顧客データを整え、組織として活用できる状態をつくることが重要だと再確認できました。

アディッシュは今後も、こうした対面イベントを通じて、カスタマーサクセス業界の実践知を共有し、カスタマーサクセスの品質向上に貢献していきます。